電子材料/電子回路システム研究室

青柳 稔 教授

Laboratory

研究室紹介

理工学という学問は、目の前にある特定の現象に興味を持つことから始まり、それを一般化する事で学問自体を発展させています。そして、この一般化は、研究者の多様性や柔軟性も生み出します。本研究室は、電子材料を主体として、電子物性の応用に関する幅広い研究をおこなっています。この研究は材料工学、電気工学、電子工学、計測工学、物理学、化学、数学などと密であるため、研究の範囲を絞らずに、研究をおこなう者が興味を持った事象の理解と、その現象の一般化を目指しています。しかしながら、楽しくなければ、また、自主的でなければ、初学者に対する教育効果も研究の進展も期待できません。本研究室のモットーは「自主的に楽しく」です。

主な研究紹介

超音波ファントムの作製とそのゲル構造の解析

医療機関において超音波ファントムは、超音波診断装置を用いた医療行為の練習などで使用されています。販売されている超音波ファントムは、価格が高く、また、穿孔練習などで穴を空けてしまうと再使用できません。このため、医療系大学では安価な寒天などを主材料に用いた自作ファントムを使用していますが、作製方法が共有されていない等の課題があります。本研究では、材料としてアルギン酸ナトリウムを用いたファントムの作製方法と、そのハイドロゲル構造について検討しています。左上の写真は人体軟組織を模擬して作製した超音波ファントム、左下の写真は蛍光薬品によりファントムのゲル構造の解析を行った結果です。

過渡的な熱伝導現象を利用した容器内の液体境界層の検出手法とその応用に関する研究

液体の入った容器をフラッシュにより瞬間加熱し、その後の容器表面の冷却過程を赤外線カメラで観察する事で、容器内部の液体境界層の検出手法を研究しています。フラッシュにより加熱された容器表面の熱は、容器内容物へ伝達と伝導で伝わりますが、内容物の違いにより、フラッシュにより加熱された容器の表面温度の過渡的な変化に違いがでます。左上の写真はスチール缶中の液体と空気の境界層を検出した結果を、左下の写真は樹脂容器に水、粘性の異なる2種類の油、空気を入れた時の各境界層を検出した結果です。各液体の境界を観察することができます。また、この結果を発展させる研究もおこなっています。

自走式ロボットの作製

本研究室では自走式ロボットの開発もおこなっています。ロボットを自走させるには超音波や赤外線などの物理現象を使って周囲の情報を取得し、その情報をマイクロコンピュータなどの電子回路で処理する必要があります。この他にも様々な物理現象と電子回路を組み合わせることで、様々な場面へ応用できる電子システムの開発を目指しています。左側の写真は赤外線で周囲情報を取得する自走式の潜水艦、右側の写真は超音波で周囲情報を取得する自走式の車体です。